21年はアトムデビュー70周年!手塚プロに聞く今年の注目コラボテーマ
本記事は新年を記念し、2021年の注目コンテンツについて、版権元のご担当者様に解説いただくスペシャル企画。2021年からアトムの周年事業を開始する手塚プロダクション様にお話をうかがい、昨年のコラボ事例や注目のコラボテーマ、代理店に期待することなどをお聞きしました。
(1)2021年から3年続くアトムアニバーサリー・イヤー
手塚プロダクション様は、手塚治虫さんが手掛けた700タイトルにおよぶ漫画の原作権と漫画から派生するキャラクター、アニメ等のライセンスの運用を行っています。2021年からは、3年連続でアトムの周年事業を展開。長年愛され続けるアトムを活用したコラボ企画を推進しています。
手塚プロダクション様に、コラボ企画を検討するうえで、重視していることをうかがいました。
手塚プロ様:手塚作品は、ありがたいことに、今も世界中から声をかけていただいており、映像化や舞台化など、さまざまなプロジェクトの相談をいただいています。
しかし、手塚治虫が亡くなって30数年がたち、その作品をリアルタイムで見ていた世代から1世代以上時間が経ってしまっているのも事実です。そのため私たちは、手塚作品の魅力を活かしながら、いかに現代の要素とマッチさせて新しい世代に伝えていくかを大切にしています。
新しい取り組み対して柔軟な姿勢を持つ社風があるため、ぜひ、いろいろなアイディアを出してほしいと思います。
【手塚プロダクション様の周年情報】
2021年:アトムデビュー70周年
2022年:鉄腕アトム連載開始70周年
2023年:アニメ鉄腕アトム放送開始60周年
2021年:ふしぎなメルモ50周年
2022年:ブッダ50周年
【新コンテンツ情報】
4~7歳向け子ども向けアニメ「GO!GO!アトム」
https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/gogo-atom/
地球環境・共存をテーマにしたサイエンスアドベンチャー
かわいい着ぐるみもあり
(2)新たな取り組みに柔軟に対応!注目のコラボ事例
「漫画の神様」と呼ばれる手塚治虫さんの作品の魅力を幅広い世代に伝えるため、新たな試みに取り組む手塚プロダクション様は、2020年にもさまざまなコラボレーション企画に参画しています。数ある企画のなかから、特にその斬新さが光る3つのプロジェクトをご紹介します。
●キオクシア株式会社様「TEZUKA 2020 AIプロジェクト」
キオクシア株式会社様の社名変更に伴うプロジェクトとして「人間×AI」で「もし手塚治虫さんが今も漫画を描き続けていたら、どんな作品を描くだろう?」という課題に挑戦。AIと人の共同作業で生まれた作品「ぱいどん」は注目を浴び、パブリシティとしても大きな効果を得られたそうです。
●森永乳業株式会社様「ピノ×ピノコ」
アイスクリーム「pino」のプロモーションに、ブラック・ジャックの「ピノコ」を採用。「かわいい」をテーマにした50種のパッケージ、現代的なプロモーション映像、パッケージジェネレーターの展開は、SNSなどでも多くシェアされていました。
●株式会社メディカロイド様 手術支援ロボット「hinotori」
※トキオ・ゲッツコーディネート事例
医療現場で活躍する国産初の手術支援ロボットに「hinotori」の名称を活用する、ライセンス×BtoB分野の新しい試み。医療業界での手塚作品の圧倒的な認知・人気が、このコラボの実現を後押ししました。
手塚プロ様:現在、手塚プロダクションでは、商品化・広告・海外案件を含め、約230件のライセンス契約を行っています。
キオクシア様のプロジェクトでは、手塚治虫の肖像も活用されていますが、手塚治虫自身の肖像を広告で使うことは、当社としてもかなりハードルの高いものと位置づけており、その企画をやることに社会的意義があると判断できるものにのみ許諾しています。今回のプロジェクトは、AIを活用して手塚治虫の漫画を描くという史上初の試みであり、その意義があると考え、実現に至りました。
(3)今後の注目コラボテーマ【SDGs・AI・グローバル】
では、手塚プロダクション様では、どのような切り口で2021年のコラボレーションを創出していきたいと考えているのでしょうか。今後の注力テーマについておうかがいしました。
手塚プロ様:前述のアトムアニバーサリーはもちろん、2020年に培った「AI・人工知能」や、環境や多様性を重視する「SDGs(持続可能な開発目標)」などを切り口とした展開に期待しています。
BtoBでの採用実績も多いため、ニッチな分野でも「その業界ではNo.1」のような企業との取り組みも良いと思います。
新型コロナウイルスの影響により、企業の広告費は低下傾向にあると言われていますが、ありがたいことに、当社に寄せられる相談の件数は減ってはいません。これは、アトムをはじめ、手塚作品の持つ「安定感」が求められているからだと考えます。
先の読みにくい時代では、商品や広告を展開する企業側も、なるべくリスクは避けたいものです。そのような企業に対し、長く愛され続ける手塚キャラクターが貢献できることがあると思います。また当社の事業の特徴として、全世界の案件のほとんどを日本の手塚プロダクションに窓口を統一しているという点があります。これにより、グローバルの展開も1社の確認で済むため、パートナー企業の方々には、スピーディに企画を進行できるというメリットがあると思います。
(4)代理店・エージェントの皆さんに期待すること
最後に、コラボ企画を提案する代理店やエージェンシーに期待することを手塚プロダクション様にうかがいました。
手塚プロ様:契約に至っているものだけでも、常時200以上の案件を進行しているため、代理店さんからの企画の発想がどうしても似通ってしまうことがあります。
手塚作品というと、コラボレーションをするにも、少し敷居が高いという印象があるかもしれませんが、私たちはアイディアに敷居があるとは思っていません。そのため、代理店の皆さんには、ぜひ柔軟な発想で企画をぶつけてほしいですね。できる・できないはありますが、私たちからも「もっとこうした方がいい」などの意見はいろいろと出せると思います。手塚プロダクションは、1社で最終的な許諾が出せる仕組みのため、一般的な製作委員会方式よりも、判断や監修がすばやくできる体制になっています。企画を進行するうえでも取り組みやすいと思いますので、いろいろな企画をご相談いただければと思います。
―貴重なお話をおうかがいさせていただき、ありがとうございました!