TVアニメ「進撃の巨人」宿泊プランで新規客を獲得!スーパーホテルがコロナ禍に挑んだ初コラボの舞台裏【前編】
スーパーホテルは国内主要都市とアジア各都市でビジネスホテルを170店舗以上展開するホテルチェーンです。同社は、2022年3月からTVアニメ「進撃の巨人 The Final Season」とのコラボレーション企画を実施しました。新型コロナウイルスの影響により、旅行業や宿泊業で難しい状況が続くなか、ビジネスホテルに新たな客層を呼び込む施策として、同社として初めてアニメとのコラボ企画に挑まれました。
大好評を博した企画の裏側や気になる成果について、株式会社スーパーホテル 芦村様、中森様にお話をうかがいました。前編では、アニメコラボ実施の背景やコンテンツ選定のポイントなど、企画実施までの舞台裏をご紹介します。
TVアニメ「進撃の巨人 The Final Season」スーパーホテル実施概要
はじめに、実施した施策の概要をご紹介します。
実施時期:
2022年3月~8月(当初6月までの予定が好評につき8月まで延長)
実施店舗:
スーパーホテルPremier銀座(~6月まで)
スーパーホテルPremier秋葉原
スーパーホテルLohas池袋駅北口
スーパーホテルなんば・日本橋
スーパーホテルPremierなんば心斎橋天然温泉(期間延長後、追加)
スーパーホテルPremier大阪本町駅前(期間延長後、追加)
実施内容:
ARアプリを活用して限定ボイスが聞けるコラボルームの制作
限定オリジナルグッズ(アクリルスタンド、ドアプレート)付き宿泊プランの販売
限定コラボグッズの店頭販売(ミニキャラアクリルスタンド)
Twitterでのプレゼントキャンペーン
【背景】コロナ禍を経て、新しい顧客層の獲得がより重要な課題に
トキオ・ゲッツ 清水
トキオ・ゲッツに初めてお問い合わせいただいたのは、確か2021年の6月頃だったと思います。新型コロナウイルス感染症の収束も見通せない時期だったと思いますが、当時はどのような課題を感じてお問い合わせをいただいたのですか?
スーパーホテル 芦村様
当社だけではないと思いますが、コロナ禍でホテル業界全体の稼働率が低下するなか、新しい顧客層に響くような商品開発ができないかと考えていました。また、そういった目の前の課題を解決する目的以外にも「当社が次のターゲットとして泊まっていただきたい世代に受け入れられるものは何か」ということを、常々考えていました。
そのようななか、アニメ等のイベントがあると近くのホテルの予約が増加していたことがヒントになりました。特に、コロナ禍で思うように外出できず、リアルなコミュニケーションが取りにくい時期でしたので、ホテルの部屋と何かがコラボすることでファンの方々に喜んでもらえるのではないかと考えたのです。
いろいろリサーチするうちに、トキオ・ゲッツのホームページを見て「これ、おもしろいんじゃないかな」と感じました。「無理かもしれないけど、1度聞いてみよう」という想いで問い合わせたことがはじまりです。
トキオ・ゲッツ 清水
コラボ企画というと、アニメだけでなく映画、芸能人、企業、ブランドなど色々な選択肢があったと思いますが、その時はコラボ相手についてどのようなイメージを持っていらっしゃいましたか?
スーパーホテル 芦村様
コラボの候補はいろいろあると思いますが、店舗の立地やこれまでの傾向から考えて、特にアニメは相性がいいのではないかと考えていました。
当社は、秋葉原、池袋、難波など、アニメ好きな方々が集まるようなエリアに店舗を展開しています。実際、アニメグッズなどのお買い物をしてからホテルを利用するお客様がいらっしゃいますし、ライブなどがあればうちわを持って泊まられるお客様もたくさんおられます。
当社はシティホテルではないので、ホテル宿泊自体が目的になることはあまりありません。そういったイベントや趣味を楽しむために寄り添えるのが当社の強みだと考えていましたので、アニメとのコラボレーションがマッチするのではないかと思いました。
トキオ・ゲッツ 清水
確か、別のアニメのイベントがあった際に予約が急増し「これは何だ?」と思われたそうですね。
スーパーホテル 芦村様
そうです。イベントがあると近隣の店舗で予約が殺到する現象が起きていました。また、当社の店舗は全国にありますが「聖地巡礼」などと言われるアニメの名所も全国にたくさんあります。そういった地域性でも当社の強みとマッチしているのではないかと思いました。
トキオ・ゲッツ 清水
コラボ企画は東京限定で実施されることも多く、私たちが版権元様とお話させていただくなかでも、全国に展開できるコラボパートナーは歓迎される傾向を感じます。そういう意味でも、御社の事業形態とアニメコラボはとても合っている気がします。
実際に問い合わせをしてからは、いかがでしたか?
スーパーホテル 芦村様
全て初めてだったので、当社が準備しなければならない情報や版権元様との関係性などもよくわからないところからのスタートでした。ロイヤリティがどの部分にかかるのか、どういったことで発生するのかなども曖昧でしたね。
そういった部分では御社に間に入っていただき、丁寧に説明していただいたことで、よりスムーズに理解できたと思います。実際に現場でお客様と接するスタッフに説明するためにも、すごく勉強になりました。
トキオ・ゲッツ 清水
コラボレーションの仕組みは、わかりにくいことが多いですよね。「〇〇製作委員会」などと書かれていてもいろいろな会社で構成されていますし、どこに問い合わせればいいものかも迷われると思います。
スーパーホテル 芦村様
そうですね。こういった問い合わせはたくさんあると思いますし、担当の方にたどり着くまでも大変かもしれないですね。そういった意味でも、エンタメコラボを専門にやっている会社というところに惹かれて御社に声をかけさせていただきました。
【コンテンツ選定】認知が高く、現場が熱意を持って取り組める作品であることを重視
トキオ・ゲッツ 清水
コンテンツ選定についてもお話を伺いたいと思います。弊社からは、最終的に決定したTVアニメ「進撃の巨人」をはじめ、ご提案当初はその他にも色々なコラボ候補をご提案させていただいたと思うのですが、最終的にTVアニメ「進撃の巨人」とのコラボを希望された際には、何が決め手になりましたか。
スーパーホテル 中森様
当社としてもコラボ企画を実施するのが初めてだったので、お客様にスーパーホテルを知っていただくために、どんなコンテンツがマッチするのかわからず不安に感じていました。「20代、30代にアプローチできるコンテンツ」という希望を出させていただき、御社にいろいろな案を出してもらいましたが、社内で企画を通していくためには企画側にも熱意が必要です。そういった点で、やはり認知が高く、ファンの方が多くいるコンテンツとコラボレーションしたいという気持ちがありました。
トキオ・ゲッツ 清水
初めてのコラボ企画は、会社にとって大きな投資でもありますよね。社内で企画を通すうえで、ご苦労された点はありませんでしたか?
スーパーホテル 芦村様
コロナ禍であったこともあり、会社としても新しいことにチャレンジしなければという気持ちがあったので、コラボ企画を実施すること自体はスムーズに受け入れられました。当社の社風として、新しい取り組みに積極的であることもベースにあったと思います。
具体的にどんなコンテンツと組むかを決める段階では、決裁する層にどれだけ作品の魅力や「破壊力」のようなものを伝えられるかがカギになると思います。
その点「進撃の巨人」は誰でも一度は聞いたことがあり、インパクトもあります。社内でコンテンツの説明をしていくなかで、当社の社長も「1から読み始める」と言い、「進撃の巨人」に詳しい中森に作品について質問しながら理解を深めてもらった経緯もありました。
トキオ・ゲッツ 清水
私たちも色々なコラボ企画をコーディネートさせていただいていますが、企業様側に熱意があることはとても重要だと思っています。今回は、中森様やホテルで実際にお客様に接するスタッフの方々が作品に対して熱い気持ちを持っていただいていたことも成功を後押ししたのではないかと思います。
スーパーホテル 芦村様
そうですね。作品のファンだと「失敗したくない」という想いもより強くなりますね。
【企画・制作】作品の世界観を守りつつ表現するポイントが理解できるように
トキオ・ゲッツ 清水
実際に企画や制作を進行していくなかでのご感想をうかがいたいと思います。
アニメなどのコンテンツの多くは作品の世界観をしっかりと担保するため、実施可否のご返答や制作物の監修などに時間がかかることがよくあります。制作を進めてみて、どのような印象を受けましたか?
スーパーホテル 中森様
そうですね。時間がかかることは想像していましたが「思っていたよりかかるものなんだな…」とは思いました。しかし、版権元様がコンテンツのブランドを大切にし、しっかり企画を検討していただいていることも感じることができました。
こちらも急ぎでお願いした部分もありながら、色々と柔軟に対応していただいたと思っています。
トキオ・ゲッツ 清水
制作のやり取りを進めるなかで、大変なことはありませんでしたか?
スーパーホテル 中森様
SNSキャンペーンは第8弾まで実施したのですが、その投稿を考える工程で学びがありました。
私たちは作品への情熱があるあまり「キャラクターにこんなセリフを言ってほしい」など、自由なアイディアを出してしまったのですが、版権元様から作品の世界観を守りつつ「こういう表現までに収めてほしい」などの注意点を優しくご教授をいただきました。そのようなやり取りを通して、コラボ企画で押さえるべきポイントが次第に理解できるようになったと思います。
叶わなかった案もありますが、最終的に一番話題になりやすいような企画に調整していただいて、ありがたいなと思います。
トキオ・ゲッツ 清水
私たちもよくお客様に説明するのですが、コラボ企画は「タイアップ」という言い方をすることもあるように、御社にも作品にもよい形が求められ、お金を払えば何でもやってもらえるというものではないのが難しいところです。作品の世界観と企業がやりたいことをうまくマッチさせる「妙技」のようなものがとても重要になります。そういう点では、中森様が作品のことをよくご存じだったこともスムーズに進む要因になったのではないかと思います。
SNSと言えば、このコラボの初告知でTwitterのフォロー&リツイートキャンペーンを行い、大きな反響を得ましたね。このキャンペーンには3,000件以上のリツイートがありました。
スーパーホテル 中森様
そうですね。初日まではどうなるか本当にドキドキしていましたが、予約開始日に爆発的に予約が入り、安心と同時に「『進撃の巨人』はやっぱりすごい!」と社内で話題になりました。
スーパーホテルとTVアニメ「進撃の巨人」コラボ企画の気になる成果やお客様の反応は、次回「後編」にてご紹介します。
スーパーホテルのTVアニメ「進撃の巨人」コラボプラン第2弾が12月13日より販売開始されました!
フロントやコラボ客室で迎えてくれる描き下ろしキャラ、リヴァイ役 神谷浩史さんのオリジナルボイスが聞けるAR体験、専用プラン宿泊でもれなくもらえるオリジナルグッズなど、第二弾も「進撃の巨人」ファンにはたまらない内容となっています。
https://www.superhotel.co.jp/shingeki-2nd/